痛みの原因を知るだけで、痛みは軽くなる?
2026年11月7日
「腰が痛いのは、骨がずれているから?」
「動かすと痛いから、なるべく動かさない方がいい?」
「検査では異常がないと言われたのに、どうして痛いんだろう?」
身体に痛みがあると、その原因が気になりますよね。
実は、痛みが起こる仕組みを正しく理解することで、痛みが軽くなることがあると研究で報告されています。
薬を飲んだり、マッサージを受けたり、運動したりするだけでなく、痛みについて学ぶことも、回復を支える方法の一つなのです。
なぜ、痛みについて知ることが身体の変化につながるのでしょうか?
今回は、痛みと脳の関係、痛みへの不安が身体に与える影響、そして実際の研究結果について、分かりやすく解説します。
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痛みは身体だけで決まるものではない
痛みを感じたとき、多くの方は筋肉や関節、骨などに問題が起きていると考えるのではないでしょうか。
実際に、筋肉や関節の炎症、神経への刺激、組織の損傷などは、痛みに関係する重要な要素です。
そして、痛みにはもう一つ知っておきたい特徴があります。
それは、痛みの強さは、身体の損傷の程度だけで決まるわけではないということです。
例えば、同じような腰の状態でも、強い痛みを感じる人もいれば、ほとんど痛みを感じない人もいます。
また、痛みが長引くと、最初に痛みを引き起こした組織の状態が変化していても、痛みが続くことがあります。
こうした違いには、身体から送られる情報を処理する脳や神経の働きが関係しています。
痛みは身体を守るための警告
熱いものに触れたとき、思わず手を引っ込めた経験はありませんか?
身体には、危険な刺激を感知し、神経を通じて情報を伝える仕組みがあります。
脳はその情報に加えて、過去の経験や周囲の状況など、さまざまな情報を処理しています。
痛みは、こうした神経系の働きによって生じる体験です。
つまり、痛みには身体の危険を知らせる警告としての役割があります。
特に慢性的な痛みでは、神経系が刺激に敏感になり、以前よりも痛みを感じやすくなることがあります。
そのため、身体の状態と神経系の働きを一緒に考えることが、痛みを理解するうえで重要になります。
痛みへの不安が、身体の動きに影響する
例えば、腰痛がある人が次のように考えていたとします。
「腰を曲げると痛いから、腰に大きなダメージがあるのかもしれない」
「また痛くなるのが怖いから、なるべく動かさないようにしよう」
こうした考え方は、痛みを経験した人にとって自然な反応です。
痛みがあるときに身体を守ろうとすること自体は、大切な働きでもあります。
その警戒が長く続くと、日常生活にも影響することがあります。
例えば、
- 腰を曲げることを避ける
- 痛みが出そうな動作を必要以上に警戒する
- 運動や外出の機会が減る
- 身体を動かすことに自信がなくなる
こうした状態が続くことで、筋力や体力が低下したり、日常の動作がさらに負担に感じられたりすることがあります。
慢性痛の研究では、痛みへの恐怖や、痛みを過度に危険なものと捉える考え方が、身体の動かしにくさや生活上の支障と関係することが報告されています。
そこで重要になるのが、自分の痛みについて正しく理解することです。
身体の状態を適切に評価したうえで、どのような動きが安全なのか、痛みと身体の損傷にはどのような関係があるのかを理解できれば、必要以上に動きを避けずに済むことがあります。
痛みを理解することは、身体を動かす自信を取り戻すきっかけにもなるのです。
痛みについて学ぶことも治療の一つ
医療やリハビリテーションの分野には、「疼痛神経科学教育」という方法があります。
英語ではPain Neuroscience Education、略してPNEと呼ばれています。
難しい名前ですが、内容はとてもシンプルです。
痛みがどのように生まれ、なぜ長引くことがあるのかを理解し、痛みへの向き合い方を見直していく方法です。
例えば、次のような内容を学びます。
- 痛みと身体の損傷は必ずしも一致しない
- 脳や神経は痛みの感じ方に関係している
- 痛みへの恐怖や警戒が身体の動きに影響する
- 安全な範囲で身体を動かすことが回復に役立つ
こうした知識を身につけることで、痛みへの不安が減り、日常生活での行動が変わることが期待されています。
では、実際の研究ではどのような結果が出ているのでしょうか?
研究で確認された、痛みを理解することの効果
2025年:5,200人分のデータをまとめた研究
2025年に発表された研究では、慢性的な腰痛に関する19件の研究レビューをまとめ、合計5,200人分のデータが検討されました。
その結果、痛みの仕組みを学ぶ教育だけでも、短期的な痛みの軽減が認められました。
また、教育に運動療法や身体へのアプローチを組み合わせた場合には、より持続的な痛みの軽減が報告されています。
この研究から、痛みについて学ぶこと自体に一定の効果が期待でき、さらに身体へのケアを組み合わせることが、慢性腰痛への有用な取り組みになると考えられています。
興味深いのは、身体に直接刺激を与えなくても、痛みの感じ方が変化する場合があるという点です。
痛みについて理解することも、回復への大切な一歩になるのです。
【参考研究:García Cancelaら、2025年】
2025年:810人を対象とした15件の研究
同じく2025年に発表された別の研究では、慢性腰痛のある810人を対象とした15件の比較試験がまとめられました。
この研究では、痛みの仕組みについて学ぶ教育によって、次のような改善が報告されています。
- 痛みの強さ
- 腰痛による日常生活への支障
- 身体を動かすことへの恐怖
- 痛みを過度に悪く考えてしまう傾向
教育とほかの治療を組み合わせた取り組みも含めて検討されており、痛みそのものだけでなく、痛みへの不安や日常生活への影響にも改善が認められた点が特徴です。
つまり、痛みについて正しく理解することは、痛みの感じ方だけでなく、身体を動かす自信や日常生活の過ごしやすさにもつながる可能性が示されています。
【参考研究:Medina-Viedmaら、2025年】
説明を聞くだけで、身体の動きまで変わる?
ここまでの研究を見ると、気になる疑問が出てきます。
「痛みについて説明を聞くだけで、身体の動きまで変わることがあるの?」
2004年には、慢性腰痛のある人を対象に、痛みの仕組みを学ぶ教育が、痛みへの考え方や身体の動きに与える影響を調べた研究が発表されています。
この研究では、痛みの神経の仕組みについて教育を受けたグループで、痛みへの考え方や、脚を上げる動作、身体を前に曲げる動作などに改善が認められました。
身体に直接働きかける施術を行わなくても、痛みへの理解が変わることで、身体の動きにも変化が生じる可能性が示されたのです。
これは非常に興味深い結果です。
痛みへの考え方が変わることは、身体を動かすときの不安や警戒を減らし、動作への自信を取り戻すことにつながると考えられます。
【参考研究:Moseleyら、2004年】
痛みの原因を知ることと、痛みの仕組みを知ることは違う
ここで、もう一つ大切なポイントがあります。
それは、「痛みの原因を知ること」と「痛みの仕組みを理解すること」には、それぞれ役割があるという点です。
例えば、腰痛がある人が「腰の筋肉に負担がかかっている」と説明を受けたとします。
これは身体の状態を理解するための情報です。
そこからさらに、
「痛みがあるとき、身体の中では何が起こっているのか」
「なぜ痛みが長引くことがあるのか」
「どのような動作なら安心して取り組めるのか」
ということまで理解するのが、痛みの仕組みについて学ぶ教育です。
痛みについて説明するときには、身体の状態だけでなく、痛みとの付き合い方や日常生活でできることまで伝えることが重要です。
例えば、腰を曲げると痛みが出る方でも、身体の状態を確認しながら、安全な範囲で少しずつ動作に取り組める場合があります。
「今の身体はどのような状態なのか」
「何に気をつければよいのか」
「どこまで身体を動かしてよいのか」
こうした疑問が解消されることで、身体への不安が和らぎ、日常生活での行動にも前向きな変化が生まれることが期待できます。
痛みを理解したら、次はどうすればいい?
痛みの仕組みを理解することは、回復に向けた行動を考えるきっかけになります。
世界保健機関(WHO)が2023年に公表した慢性腰痛のガイドラインでも、患者さんへの教育、運動療法、必要に応じた身体への施術や心理的な支援などを組み合わせる考え方が示されています。
つまり、痛みについて学ぶことと、身体へのケアは、どちらも大切な役割を持っています。
まずは身体の状態を確認する
同じ腰痛でも、筋肉や関節の状態、神経の働き、日常生活での負担などは人によって異なります。
いつから痛むのか、どのような動作で痛むのか、普段の生活でどのような負担がかかっているのかを確認することが大切です。
身体の状態を正しく理解することで、今の自分に合った対処方法を考えやすくなります。
安全な範囲で身体を動かす
慢性的な腰痛では、状態に応じて身体活動を続けることが勧められています。
例えば、短い距離を歩く、無理のない範囲で身体を動かす、日常生活の動作を少しずつ再開するなどです。
痛みの仕組みを理解し、身体を動かすことへの不安が和らぐことで、こうした活動にも取り組みやすくなります。
痛みだけでなく、生活全体を見直す
睡眠不足、疲労、ストレス、運動不足なども、慢性的な痛みを考えるうえで確認したい要素です。
十分な休養を取り、身体を動かす機会をつくり、日常生活の負担を調整することも大切になります。
痛みの仕組みを理解することで、身体の状態だけでなく、生活習慣にも目を向けるきっかけになります。
よつ葉接骨院が身体の状態を説明する理由
よつ葉接骨院では、施術前の問診や身体の状態の確認を大切にしています。
それは、どこが痛いのかを調べるためだけではありません。
患者さんご自身にも、今の身体がどのような状態なのかを理解していただきたいと考えているからです。
当院では、必要に応じてAI姿勢解析や関節の動き、筋肉の状態などを確認し、身体全体のバランスを評価しています。
AI姿勢解析も、身体の状態を知るための一つの情報として活用しています。
そして、確認した内容を分かりやすく説明したうえで、一人ひとりの状態に合わせた施術を行います。
当院が大切にしているのは、身体を整える整体と、心身をゆっくり休ませるリラクゼーションを組み合わせることです。
施術中の心地よさはもちろん、施術後には身体の動きや状態を確認し、必要に応じて日常生活での身体の使い方やセルフケアもお伝えしています。
痛みや不調を抱えていると、自分の身体に対して不安を感じることもあると思います。
だからこそ、身体の状態を知り、納得しながらケアを受けていただくことを大切にしています。
まとめ:痛みを知ることも回復への第一歩
痛みは、筋肉や関節などの身体の状態に加えて、脳や神経の働き、過去の経験、痛みへの不安など、さまざまな要素が関係して生じます。
そして研究では、痛みの仕組みを正しく理解する教育によって、慢性的な痛みが軽減する場合があることが報告されています。
痛みについて知ることは、必要以上の不安を減らし、身体を動かす自信を取り戻すきっかけになります。
さらに、適切な運動や身体へのケアなどを組み合わせることで、日常生活をより快適に過ごすことにもつながります。
「なぜ痛むのか分からない」
「痛みが怖くて身体を動かせない」
「何度も繰り返す肩こりや腰痛に悩んでいる」
そんな方は、一度ご自身の身体の状態を確認してみませんか?
横浜市鶴見区・生麦駅徒歩1分のよつ葉接骨院では、柔道整復師として19年の施術経験を持つ院長が、身体の状態を丁寧に確認し、一人ひとりに合わせたケアをご提案しています。
身体を知ることから、元気な毎日への一歩を踏み出していきましょう。
参考文献
- García Cancela J, Conde Vázquez O, Navarro Ledesma S, Pruimboom L. The effectiveness of pain neuroscience education in people with chronic non-specific low back pain: An umbrella review with meta-analysis. Annals of Physical and Rehabilitation Medicine. 2025;68(8):102020. https://doi.org/10.1016/j.rehab.2025.102020
- Medina-Viedma L, et al. Effectiveness of Pain Neuroscience Education in Reducing Pain, Disability, Kinesiophobia, and Catastrophizing in Patients with Chronic Low Back Pain: A Systematic Review and Meta-Analysis. Medical Sciences. 2025;13(4):290. https://doi.org/10.3390/medsci13040290
- Moseley GL, Nicholas MK, Hodges PW. A randomized controlled trial of intensive neurophysiology education in chronic low back pain. The Clinical Journal of Pain. 2004;20(5):324–330. https://doi.org/10.1097/00002508-200409000-00007
- World Health Organization. WHO guideline for non-surgical management of chronic primary low back pain in adults in primary and community care settings. 2023. https://www.who.int/publications/i/item/9789240081789
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執筆者紹介
執筆者:柔道整復師 宮寺 雅佳(よつ葉接骨院 院長)
臨床現場で19年以上、これまで3万人以上の方の身体のお悩みに向き合ってきました。
よつ葉接骨院では、「痛い場所だけにとらわれず、身体全体を見ること」を大切にしています。
腰痛や肩こりなどの不調は、痛みを感じている場所だけでなく、身体の動きや活動量、日々の過ごし方など、さまざまな要素が関係していることがあります。
そのため、問診や身体の動き、姿勢などを確認し、一人ひとりの状態に合わせて施術やセルフケアをご提案しています。
目指しているのは、痛みだけにとらわれず、その方が元気な毎日を送れるようサポートすること。
この記事も、医学的な情報をもとに、できるだけ分かりやすくお伝えすることを心がけて作成しています。
よつ葉接骨院 / よつ葉整体院(横浜市鶴見区・京急生麦駅徒歩1分)
肩こり・頭痛・腰痛・自律神経の乱れなど、慢性的な不調を中心に、一人ひとりの身体の状態に合わせた施術を行っています。
国家資格を持つ院長が、AI姿勢分析や可動域検査などを用いて原因を確認し、筋肉や関節だけでなく、身体全体のバランスを考慮した施術をご提供しています。
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- 完全予約制
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