寒いと身体が痛くなるのはなぜ?冷やすと楽になる不思議な仕組み

2026年11月1日

冬になると肩こりや腰痛がつらくなる。

寒い朝は身体がこわばり、動き始めるまでに時間がかかる。

そんな経験はありませんか?

寒さによって身体が痛くなることは、なんとなく想像できますよね。

でも、ここで一つ疑問があります。

寒いと痛くなるのに、痛いところを冷やすと楽になることがあるのはなぜでしょうか?

さらに、お風呂に入ったり、身体を温めたりしても痛みが和らぐことがあります。

冷やしても温めても楽になるのに、冬の寒さでは痛みが強くなる。

今回は、この不思議な関係を研究結果とともに解説します。

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寒さと身体の痛みには関係がある?

寒い日に肩や腰がつらくなるという経験は、実際に研究でも調べられています。

2023年には、変形性関節症と天候の関係について、14件の研究をまとめた報告が発表されました。

その結果、気温が低いほど、変形性関節症の痛みが強くなる傾向が確認されました。

2007年に発表された、変形性膝関節症の患者さん200人を対象とした研究でも、気温が低い日ほど膝の痛みが強い傾向が報告されています。

また、2019年にイギリスで行われた大規模な研究では、慢性的な痛みを抱える2,658人が、毎日の痛みと天候をスマートフォンで記録しました。

この研究では、湿度や気圧、風などの天候と痛みとの間に関連がみられました。

天候と痛みの関係は、気温だけでなく、いくつかの気象条件を通じて研究されています。

こうした研究から、寒さや天候の変化は、身体の痛みを考えるうえで注目したい要素の一つといえます。

では、何℃くらいから身体に痛みを感じるのでしょうか?

何℃から身体が痛くなる?6,591人を調べた研究

2014年、フィンランドで寒さと筋肉・関節の痛みについて調べた研究が発表されました。

対象となったのは、25〜74歳の男女6,591人です。

研究では、寒いときに筋肉や関節が痛くなることがあるか、どのくらいの気温で痛みを感じ始めるかを調べました。

その結果、約30%の人が、寒さに関連する筋肉や関節の痛みを経験していました。

さらに、痛みを感じ始める気温にも大きな違いがみられました。

研究で示された、寒さによる痛みを感じ始める気温の分布は次のとおりです。

気温痛みを感じ始める気温の分布
−2℃約10%
−14℃約50%
−23℃約90%

これは、寒さによる痛みを経験した人たちが、どのくらいの気温で痛みを感じ始めると回答したかを示したものです。

人によって、痛みを感じ始める寒さには大きな違いがあることが分かります。

住んでいる地域によっても違いがあった

この研究では、住んでいる地域によっても違いがみられました。

比較的暖かいフィンランド南部に住んでいる人は、寒さの厳しい北部に住んでいる人よりも、高い気温で痛みを感じ始める傾向がありました。

寒さへの慣れや普段の生活環境などが、痛みの感じ方に関係している可能性があります。

同じ気温でも、寒さの感じ方や身体の反応には個人差があります。

こうした違いを知ることは、自分の身体に合った寒さ対策を考えるきっかけになります。

寒いと身体では何が起こる?

では、寒いと身体にどのような変化が起こるのでしょうか?

まず知っておきたいのは、私たちの身体には体温を保とうとする仕組みがあるということです。

身体は熱を逃がさないようにする

寒さを感じると、身体は熱が逃げすぎないように働きます。

例えば、寒い日に手足が冷たくなりやすいのも、身体の表面から熱を逃がさないようにする反応が関係しています。

身体では次のような変化が起こります。

寒さを感じる

↓

皮膚の血管が縮む

身体の表面から熱が逃げにくくなる

↓

さらに寒くなると筋肉が震える

筋肉を細かく動かして熱を作る

↓

体温を保とうとする

寒い日に身体がブルブル震えるのは、筋肉を使って熱を作ろうとしているためです。

このように、寒さを感じると身体はさまざまな方法で体温を守ろうとします。

寒いと筋肉が緊張することがある

寒い日に、無意識に肩をすくめたり、身体を丸めたりした経験はありませんか?

肩をすくめた姿勢では、首や肩の筋肉が活動します。

また、筋肉の温度が下がると、筋肉が力を発揮する速さや、身体の動かしやすさにも変化が起こります。

こうした反応が、寒いときに感じる身体のこわばりに関係していると考えられます。

例えば、寒い朝に身体を動かし始めると、少しずつ動きやすくなることがありますよね。

身体を動かすことで筋肉が活動し、熱が作られることも、その一つの理由です。

冷たさを感じる神経も働いている

私たちの皮膚には、温度の変化を感じ取る仕組みがあります。

冷たいものに触れると、その情報が神経を通って脳に伝わり、「冷たい」と感じます。

そして、冷たさが強くなると、痛みとして感じることもあります。

例えば、冷たい水に手を入れたとき、最初は冷たいだけだったのに、次第にジンジンと痛くなった経験はありませんか?

これは、強い冷たさが痛みの感覚にも関係する身近な例です。

寒いときの身体の不調には、筋肉の働きや体温調節に加えて、温度を感じる神経の働きも関係しています。

冷やすと痛みが和らぐのはなぜ?

ここまで、寒さによって身体に起こる反応を紹介しました。

では、なぜ痛いところを冷やすと楽になることがあるのでしょうか?

その理由の一つは、冷やすことで神経の働きが変化するためです。

2007年に発表された研究では、成人男性23人を対象に、足首を冷やしたときの神経の働きや痛みの感じ方が調べられました。

その結果、冷やすことで神経が情報を伝える速さが遅くなり、痛みを感じ始める刺激の強さにも変化がみられました。

つまり、冷やすことによって、一時的に痛みを感じにくくなる反応が確認されたのです。

例えば、打撲などで痛みがあるときに患部を冷やすと、痛みが少し落ち着くことがあります。

こうした反応には、冷却による神経の働きの変化が関係しています。

冷やすことと、冬の寒さは何が違う?

ここで重要なのは、身体が受ける冷たさの違いです。

痛いところを短時間冷やす場合と、寒い屋外で長時間過ごす場合では、身体に起こる反応が異なります。

患部を冷やす場合には、その部分の神経の働きが変化し、一時的に痛みを感じにくくなることがあります。

冬の寒さでは、体温を保つための反応や筋肉の働き、身体の動かし方など、さまざまな変化が同時に起こります。

そのため、「冷やすと痛みが和らぐこと」と「寒い日に痛みが強くなること」は、どちらも起こり得るのです。

温めても痛みが和らぐのはなぜ?

今度は反対に、身体を温める場合を考えてみましょう。

寒い日にお風呂に入ると、肩や腰が楽になることがありますよね。

身体を温めることにも、痛みを和らげる働きがあります。

温めると身体に起こる変化

身体を温めると、皮膚の血管が広がり、血流が増加します。

温める場所や方法によっては、筋肉などの組織の温度も上がり、動かしやすさや伸びやすさが変化します。

また、温かさを感じる神経からの情報も、痛みの感じ方に関係していると考えられています。

温めることで身体が楽になるのは、こうした変化が関係しているためです。

腰痛に対する研究でも効果が報告されている

2006年に発表された研究では、腰痛に対する温熱療法や冷却療法について、これまでの研究結果がまとめられました。

その結果、発症して間もない腰痛などに対して、温熱シートなどで温めることにより、短期間の痛みや日常生活の支障が軽減することが報告されました。

また、2017年に発表されたアメリカの腰痛診療ガイドラインでも、発症して間もない腰痛に対して、温める方法が治療の選択肢として紹介されています。

温めることも、痛みを和らげるための方法の一つなのです。

冷やしても温めても楽になる理由

ここまでの内容を整理してみましょう。

冷やすことと温めることは、正反対の刺激です。

それぞれ身体に起こる変化は異なります。

冷やしたとき温めたとき
神経が情報を伝える速さが遅くなる血流が増加する
痛みを感じにくくなることがある組織の動かしやすさが変化する
一時的な痛みの軽減につながる痛みやこわばりの軽減につながることがある

つまり、痛みを和らげる方法は一つではないということです。

冷たさも温かさも、身体の状態や神経の働きを変化させ、痛みの感じ方に影響します。

そして、冬の寒さによる身体の反応には、体温調節や筋肉の働きなども関係します。

この違いが分かると、「寒いと痛いのに、冷やすと楽になる」という疑問も理解しやすくなりますね。

冬の肩こり・腰痛を軽減するためにできること

寒い季節の身体の不調を軽減するためには、普段の生活で取り入れられる工夫も大切です。

身体を冷やしすぎない

寒さによって肩や腰の痛み、身体のこわばりを感じる方は、快適に過ごせる温度を保つことを意識してみましょう。

首元を冷やさない服装にする、室内の温度を調整する、入浴で身体を温めるなど、身近な方法があります。

温めると楽になる方は、温熱シートなどを利用するのも一つの方法です。

温熱シートやカイロは、長時間同じ場所に当て続けると低温やけどにつながることがあります。使用方法を守り、眠っている間の使用などは避けましょう。

同じ姿勢を長時間続けない

寒い季節は、屋外に出る機会が減り、室内で座って過ごす時間が長くなることがあります。

デスクワークやテレビを見る時間が長くなると、身体を動かす機会も少なくなりがちです。

そんなときは、無理のない範囲で立ち上がったり、少し歩いたりしてみましょう。

首や肩をゆっくり動かす、足首を動かすなど、簡単な動作でも構いません。

同じ姿勢が長く続かないようにすることが、身体を動かすきっかけになります。

無理のない運動を取り入れる

寒い時期でも、身体の状態に合わせて活動を続けることが大切です。

例えば、ウォーキングや軽い体操など、自分に合った運動を取り入れてみましょう。

寒い屋外での運動がつらい場合は、室内で身体を動かす方法もあります。

また、身体が冷えて動きにくいと感じるときは、暖かい場所で軽く身体を動かし始めるのもよいでしょう。

腰痛などでは、身体の状態に合わせて活動を続けることが、日常生活の機能を保つうえでも大切だとされています。

よつ葉接骨院が大切にしていること

冬になると肩こりや腰痛がつらくなる。

そんなときは、痛みのある場所だけでなく、身体全体の状態を確認することが大切だと考えています。

よつ葉接骨院・整体院では、筋肉や関節の状態、身体の動き、普段の生活習慣などを確認し、一人ひとりに合わせた施術を行っています。

必要に応じてAI姿勢解析や関節の動きを確認し、現在の身体の状態を把握します。

施術では、整体とリラクゼーションを組み合わせ、心地よく身体を休められる時間も大切にしています。

また、施術だけで終わらず、日常生活で取り入れられるセルフケアや身体の動かし方についてもお伝えしています。

まとめ|寒さと痛みの関係を知って、冬を快適に

今回紹介した研究では、寒さと身体の痛みには関連があることが報告されています。

また、寒さによって痛みを感じ始める気温には、大きな個人差があることも分かりました。

寒いときには、身体は体温を保つためにさまざまな反応を起こします。

筋肉の働きや神経の働きも変化し、身体のこわばりや痛みの感じ方に関係しています。

そして、冷やすことも温めることも、痛みを和らげるための方法になります。

大切なのは、今の身体がどんな状態なのかを知り、自分に合った方法を選ぶことです。

冬になると繰り返す肩こりや腰痛、身体のこわばりでお悩みの方は、身体の状態を一度確認してみませんか?

よつ葉接骨院・整体院では、一人ひとりの身体の状態に合わせて、元気な毎日を送るための身体づくりをサポートしています。


参考文献

  1. Wang L, et al. Associations between weather conditions and osteoarthritis pain: a systematic review and meta-analysis. Annals of Medicine. 2023;55(1):2196439. DOI: 10.1080/07853890.2023.2196439
  2. McAlindon T, et al. Changes in barometric pressure and ambient temperature influence osteoarthritis pain. The American Journal of Medicine. 2007;120(5):429–434.
  3. Dixon WG, et al. How the weather affects the pain of citizen scientists using a smartphone app. npj Digital Medicine. 2019;2:105. DOI: 10.1038/s41746-019-0180-3
  4. Prevalence of cold-related musculoskeletal pain according to self-reported threshold temperature among the Finnish adult population. European Journal of Pain. 2014;18(2):288–298. DOI: 10.1002/j.1532-2149.2013.00368.x
  5. Algafly AA, George KP. The effect of cryotherapy on nerve conduction velocity, pain threshold and pain tolerance. British Journal of Sports Medicine. 2007;41(6):365–369. DOI: 10.1136/bjsm.2006.031237
  6. French SD, et al. Superficial heat or cold for low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2006;(1). DOI: 10.1002/14651858.CD004750.pub2
  7. Qaseem A, et al. Noninvasive Treatments for Acute, Subacute, and Chronic Low Back Pain: A Clinical Practice Guideline From the American College of Physicians. Annals of Internal Medicine. 2017;166(7):514–530. DOI: 10.7326/M16-2367

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執筆者紹介

宮寺 雅佳

執筆者:柔道整復師 宮寺 雅佳(よつ葉接骨院 院長)

臨床現場で19年以上、これまで3万人以上の方の身体のお悩みに向き合ってきました。

よつ葉接骨院では、「痛い場所だけにとらわれず、身体全体を見ること」を大切にしています。
腰痛や肩こりなどの不調は、痛みを感じている場所だけでなく、身体の動きや活動量、日々の過ごし方など、さまざまな要素が関係していることがあります。

そのため、問診や身体の動き、姿勢などを確認し、一人ひとりの状態に合わせて施術やセルフケアをご提案しています。

目指しているのは、痛みだけにとらわれず、その方が元気な毎日を送れるようサポートすること。
この記事も、医学的な情報をもとに、できるだけ分かりやすくお伝えすることを心がけて作成しています。

よつ葉接骨院 / よつ葉整体院(横浜市鶴見区・京急生麦駅徒歩1分)

肩こり・頭痛・腰痛・自律神経の乱れなど、慢性的な不調を中心に、一人ひとりの身体の状態に合わせた施術を行っています。

国家資格を持つ院長が、AI姿勢分析や可動域検査などを用いて原因を確認し、筋肉や関節だけでなく、身体全体のバランスを考慮した施術をご提供しています。

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